広告

時制とは?修飾節を例にとって解説 【TOEIC 800点突破の知識】

2020-08-29ご自身の語学習得に関して,英語学習に関して,語学学習の興味が湧く記事,韓国語学習に関して学習ノウハウ,英語,韓国語

以前、日本語と英語と韓国語の「会う」と「解決する」という動詞から、自動詞と他動詞の解説をしました(こちらの自動詞と他動詞の解説(日本語/英語/韓国語の「会う」と「解決する」)記事です)。

今回は時制について考えてみようと思います。

英語はかなり時制についてうるさい言語ですが、日本語と韓国語はある程度あいまいにできる言語です。そのあたりを中心に解説をさせていただこうと思っております。その他、当ブログではTOEIC 800点を超えるための知識としてマニアックな視点でいろいろと記事を公開させていただいております。こちらのTOEIC 800点レベルを目指すための記事でまとめておりますので、語学の勉強に興味を持っている方に参考に見ていただけますとうれしいです!

*本記事はすべて読むのに約7分かかります。緑枠の目次より読みたい箇所へお進みください。

 

広告

1. 時制について

時制とは、言葉や文字が表している時間軸です。主に過去形、現在形、未来形がありますが、細かく分類すると英語ではさらに過去完了形、現在完了形、未来完了形といった概念が存在したりします。

日本人には完了形のニュアンスを完璧に理解するのはなかなか難しいです。

当記事では、英語と韓国語の試験で一応上級者と言われる点数を取得した小職が、これまで勉強した内容を元に、時制について解説します。

小職の理解が間違っている可能性もございます。あぁ、こんな考え方でもTOEIC 970点、TOPIK Ⅱ 215点(5級)を取れるんだ、くらいの感覚でお読みください。

広告

2. 「車にひかれる事故がありました」から考える日本語の時制

まず、このタイトル文にある例文を考えます。ニュースなどで耳にしそうなフレーズですね。

「車にひかれる事故がありました」

この文での時制を考えてみると
1つ目:ひかれる
2つ目:ありました
という時間軸を表す部分があります。

この文を日本語と英語と韓国語で考えてみましょう。

広告

3. 「ひかれる」と「ありました」の時制を日本語で考える

さて、日本語で「車にひかれる事故がありました」と聞いてなにか不自然な感覚があるでしょうか?

無いですね。

それでは「車にひかれた事故がありました」ではどうでしょうか?

違和感はあるでしょうか?普段の生活ではこのあたりをいちいち意識することはないでしょうけれども、違和感は無いと思います。

この文は通常、発生した事故をあとから振り替えるときに使われる文章です。そのため、普通に考えると過去形になるのが自然です。それなのに「車にひかれる事故がありました」も「車にひかれた事故がありました」もどっちでもいいわけです。

この文をもう少し細かく分解してみますと下記のようになります。

このように、「ひかれる(た)」の部分は「事故」を修飾する文の塊(以後修飾節)となっています。この修飾節を抜かした文を主文と呼び、この場合は「事故がありました」というのが主文になります。
日本語では、この主文の時制が過去であれば、修飾部の時制はあいまいなままでもO.K.です。

それでは主文の時制を変えてみましょう。
①「車にひかれる事故があります」
②「車にひかれた事故があります」

①の時制はなんでしょうか?
例えば「(明日、)車にひかれる事故があります」と言った場合、占い師の予言などになり、時制は未来と言えます。

一方で、交差点などの会話で「(ここでは)車にひかれる事故が(結構)あります」というニュアンスであれば日常の事実を表し、現在形の時制と言えます。

このように、日本語の未来形と現在形は文を見ただけでは判断が難しく、前後の文を総合的に考慮しなければなりません。言い換えると現在形と未来形は形は一緒であえて区別した言い方はせず、時制はルーズとも言えますね。

それでは②の時制はなんでしょうか?

こちらは過去に事故があったという事実を述べており、現在形が確定します。

以上をまとめますと、日本語での時制は以下のようになると言えます。
未来形と現在形 : 「ひかれる」や「あります」で一緒の表現(時制表現にルーズ)
過去形 : 「ひかれた」や「ありました」で現在形などと区別がある

修飾節内の動詞の時制 :
主文が過去のとき : あいまいでオッケー(時制表現にルーズ)
主文が現在/未来のとき : ちゃんと考えないとニュアンスが変わる

日本語はところどころ時制の表現がルーズであることがわかります。

広告

4. 「ひかれる」と「ありました」の時制を英語で考える

それでは「車にひかれる事故がありました」を英語で考えてみましょう。

直訳すると
There was a traffic accident in which a man(woman) was run over.
と言ったところでしょうか。

There was a traffic accident and a man(woman) was run over in it.
か、単に
A man(woman) was run over in a traffic accident.
と言う方が自然な気はしますが、時制の説明のため、あえて直訳の文を取り上げます。

もしこの直訳文が出てきたらどう訳しますか?
There was a traffic accident in which a man(woman) was run over.

「車にひかれる事故がありました」でしょうか?「車にひかれた事故がありました」でしょうか?小職が採点者なら両方マルにします。

それでは「車にひかれる事故がありました」を英訳せよ、と言われた場合はどうでしょうか?

There was a traffic accident in which a man(woman) is run over.
としてしまうとまず満点はもらえません。「ひかれる」の部分を日本語に合わせて現在形の is とすると、英語では非常に違和感のある文章になってしまいます。

おそらくネイティブの方は理解すると思いますが、小職が採点者ならこのあたりの時制の精密さを理解してもらうために10点満点であれば7点くらいにすると思います。

このように、英語は主文ではない部分の時制まで気を配らなければなりません。

それでは主文が現在形である
①「車にひかれる事故があります」
②「車にひかれた事故があります」
を考えてみます。

①はWe often have traffic accidents (around here) in which people*1 are run over.
のように言うのが自然な気がしますが、上との対比で文章を作ってみると
There are traffic accidents in which people are run over.
となります。

*1 in whichの中を複数形としてみました。単数の人がひかれる事故がよく起こるのであれば単数でO.K.です。ただ、この文を使う場面であれば、事故の悲惨さを伝える内容である可能性が高いと思うので、複数の人がひかれるような文にしてみました。

この英文が表す内容は日常の事実を表す「(ここでは)車にひかれる事故が(結構)あります」になります。

一方で占い師の予言である「(明日、)車にひかれる事故があります」はどうでしょうか?

There will be a traffic accident in which a man will be run over.
未来のことを言うので主文、修飾節、ともに未来形が自然です。ただ、この場合、下記もありえます。

There will be a traffic accident in which a man is run over.

英語では不変の事実を現在形で言うことがあります。この占い師が非常に有能で、占いに自信がある場合にあえて現在形で言うことで、予言への自信をかもしだすことができます。

それでは②を考えてみます。②は日本語と同様に特にひねりはありません。
There are traffic accidents in which people were run over.
となり、表す内容は「事故があった」という過去の事実です。

英語の時制をまとめます2
未来形 : 「will be run over」「will be a traffic accident」
現在形 : 「is run over」「there are traffic accidents」
過去形 : 「was run over」「was a traffic accident」
となり、それぞれの時制で明確に違う表現方法になっています*2

*2 単数複数形は例文に合わせました

修飾節内の動詞の時制 :
主文が未来のときも現在のときも過去のときも、ちゃんと考えないと文法的に誤りになったり、ニュアンスが変わる

英語は時制に厳しいことがこの例文からもわかりますね。

広告

5. 「ひかれる」と「ありました」の時制を韓国語で考える

「車にひかれる事故がありました」を韓国語で考えてみましょう。

차에 치이는 사고가 일어났습니다.
ここで、主文は「일어났습니다.」と過去形になっているにも関わらず、修飾節内では「치이는 사고」と現在形になっています。

実際の事故は過去に起きているので、
「차에 치인 사고가 일어났습니다.」
となりそうですがそうならなくても良いわけです。 この辺のルーズさは日本語と似ていますね。

このように、韓国語の主文が過去の文では修飾節の時制は日本語と同様あいまいで良い、ということになります。日本人にはありがたいですね。

それでは主文の時制を変えてみましょう。
①「車にひかれる事故があります」
②「車にひかれた事故があります」
を考えてみます。

①の日常の事実を意味する「(ここでは)車にひかれる事故が(結構)あります」は
(여기에서) 차에 차이는 사고가 (상당히) 일어납니다.
でしょうか。

一方で占い師の予言などを意味する
「(明日、)車にひかれる事故があります」

(내일) 차에 차일 사고가 일어날 겁니다(갓입니다).
でしょうか。

日本語では「ひかれる」、「あります」で未来形と現在形が一緒の表現でしたが、韓国語では未来連体形を用い차일 사고、일어날 겁니다.になっています。未来形と現在形が区別されている点は英語に似ていますね。

②は차에 차인 사고가 있습니다.でしょうか。
このフレーズが使われるシチュエーションはあまり浮かびませんが、過去の事実を述べています。

韓国語の時制をまとめますと
未来形 : 「차일 사고」「일어날 겁니다」
現在形 : 「차이는 사고」「일어납니다」
過去形 : 「차인 사고」「일어났습니다」
となり、それぞれの時制で明確に違う表現方法になっており、この部分は英語に似ていると言えます。

修飾節内の動詞の時制 :
主文が過去のとき : あいまいでオッケー
主文が現在/未来のとき : ちゃんと考えないとニュアンスが変わる
となります。こちらは日本語に似ていますね。

6. まとめ

いかがでしょうか?
時制について小職の理解を基に時制の少々マニアックな部分を解説させていただきました。

日本語は現在形と未来形の区別がつきにくかったり、そもそも時制があいまいでも通じたりする言語です。そういう言語に慣れると、英語のように時制に厳しい言語を勉強するとき苦労しますよね。

あとは間接話法における時制も少々やっかいなところがありますので、いつか取り上げて解説してみたいと思っています。乞うご期待?

本ブログではこの記事以外にもTOEIC 800点突破の知識として少し難しめの文法をマニアックな視点で解説しています。さいごにそれらの記事へのリンクをご紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございました!

広告