自動詞と他動詞の解説(日本語/英語/韓国語の「会う」と「解決する」)
2020-09-11ご自身の語学習得に関して,英語学習に関して,語学学習の興味が湧く記事,韓国語学習に関して動詞,多言語学習,英語,韓国語
言語の学習をしていて思うことの一つとして、自動詞と他動詞の働きを両方とも持つものは不思議だな、ということが挙げられます。
今回の記事は自動詞の「会う」と自動詞と他動詞の働きを持つ「解決する」を取り上げて解説します。そして、これらの語句は英語や韓国語ではどうなのか、についても考え、多言語比較をしてみようと思います。
自動詞と他動詞の理解を深めようとしている方に読んでいただけると嬉しいです。また同時に語学学習への興味を持っていただけるとこれまたうれしいです。
*本記事はすべて読むのに約9分かかります。下記緑枠の目次より読みたい箇所へお進みください。
目次(この記事の内容)
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1. 自動詞と他動詞
言語を勉強していると、言葉って不思議だな、と思うことが多々あります。自動詞と他動詞もその一つです。
自「動詞」とか他「動詞」というだけあって、双方とも動詞です。動詞は語学学習をするときに最も重要な単語なので重点的に勉強する必要があります。これに関連し、下記で単語の勉強順序について書いています。
繰り返しになりますが、今回の記事は最優先品詞である動詞に関連する記事です。
まずは自動詞や他動詞ってなに?から解説していきます!
1-1. 自動詞とは
自動詞とは目的語を取らない動詞のことを言います。少し言い換えると、目的語を取らなくても意味が成り立つ動詞、ということになります。
「自」らだけで(文脈に頼ることなく)文章を成り立たせることができる「動詞」ということで自動詞とよばれているのだと思います。
自動詞の代表例は「行く」です。「僕は行く」で文章が通じます。
自然に言うなら、例えば
「僕は名古屋に行く」
のように使います。
「名古屋に」の部分は目的語には含まれません。
目的語についてはこのあとの「1-2. 他動詞とは」でお伝えします。
1-2. 他動詞とは
目的語を取らない自動詞に対し、目的語を取るものが他動詞です。はい、この文ですでに目的語を使っていますね。
目的語「を」取らない自動詞
と最初の文に書きました。を、の部分を強調しました。動詞の前の「を」が目印です(この場合の動詞は「取る」です)。この文では「目的語」のフレーズが目的語になります。
基本的に目的語を取るときは、動詞の前に「を」がつきますので、日本語の場合「を」があるかないかで判断してほぼ問題ありません。
では英語と韓国語ではどうなのでしょうか。動詞である「会う」と「解決する」を例に見てみましょう。
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2. 「会う」について
2-1. 「会う」の日本語での働き
「会う」を使うとき、日本語ではどのように使うでしょうか。
普通、「おばあちゃんに会う」と言います。動詞である「会う」の前に「を」がありません。従って、この文では目的語がなく、「会う」は自動詞ということになります。
「会う」に他動詞の意味は無いのでしょうか?広辞苑が入っている電子辞書によると、自動詞としか書いていません。
日本語において「会う」は自動詞と考えて間違いなさそうです。
2-2. 「会う」の英語での働き
それでは次に英語の「会う」を考えてみます。「会う」に当たる英語はmeetです。
先ほどの例文「おばあちゃんに会う」を英語にしてみましょう。英語では主語が必要ですから
I’m going to meet my grandmother.
です。
このときの「meet」が自動詞か他動詞か考えてみます。
日本語で自動詞か他動詞かを見分けるには「を」を目印とする、とお伝えしました。英語で自動詞か他動詞を見分けるには、目的語の候補である単語に前置詞がついているかどうかが目印になります。
見分け方は
- 前置詞がついている → 自動詞(候補となっている単語は目的語ではない)
- 前置詞がついていない → 他動詞(候補となっている単語は目的語になっている)
です。
前置詞というのはas、at、in、on、withなどです。前置詞はどんなに英語ができるようになっても正しく使うのが難しい品詞です。少しマニアックな前置詞の使い方を下記でご紹介していますので、ご興味のある方は読んでみてください。
前置詞の難しい使い方について解説しています!
例文で目的語の候補は「grandmother」です。これに前置詞がついているかついていないか、で見てみますと…………
ついていないですね。
ですので、日本語では自動詞であった「会う」が英語(meet)では他動詞*1なのです。不思議ですね。
少し話がそれますが、下記のようなgiveも日本語と英語で違います。
Whom(Who) do you give it to?
I give her*2.
日本語に訳すと
「それを誰にあげるの?」
「彼女にあげるよ」
「give her」の部分において、herが目的語の候補になります。前置詞がついていませんので、herは目的語となり、giveは他動詞ということになります。
一方、日本語では「彼女にあげるよ」と言い、「あげる」という動詞の前に「を」がありません。
従って、この場合も英語(give)では他動詞、日本語(あげる)では自動詞ということになります。
*1 「meet」には自動詞の意味もあります。この例文では他動詞ということです。
*2 この場合、I give it to her.と言うほうが親切です。この場合は日本語では「彼女にそれをあげるよ」になるので、他動詞です。
このとき、itは直接目的語と呼ばれ、herは間接目的語と呼ばれます。日本語では、間接目的語は「~に」で表されるものを指しますが、これを目的語と見なさないのが一般的です。でも英語では目的語と見なすので、こういった違いが出てくるんです。
さて、元の例文に話を戻してまとめます。
I’m going to meet my grandmother.
では「meet」は他動詞なのに、日本語訳では「おばあちゃんに会う」というように、自動詞の訳になります。
繰り返しになりますが、言語って不思議ですよね。
2-3. 「会う」の韓国語での働き
では韓国語ではどうでしょうか?
韓国語で「会う」は「만나다(マンナダ)」です。「おばあちゃんに会う」は「할머니를 만난다.(ハルモニルル マンナンダ)」となります。韓国語(ハングル)の読み方は下記の記事を読むとわかるようになります。
韓国語が読めるようになります!
韓国語は日本語と語順が一緒で、動詞である「만나다」の前にある「할머니」が目的語の候補になります。韓国語と日本語の語順については下記で取り上げています。
韓国語の語順について英語と比較して書いています!
韓国語での自動詞と他動詞の見分け方は日本語と似ており、「を」にあたる韓国語である「를」もしくは「을」があるかないかで見分けます。
見分け方は下記です。
- 「를」がついていない → 「を」がついていないのと同じ → 自動詞(候補となっている単語は目的語ではない)
- 「를」がついている → 「を」がついているのと同じ → 他動詞(候補となっている単語は目的語になっている)
「할머니」に「를」がついていますので、この「만나다」は他動詞*3です。
日本語と韓国語は文法が似ているのですが、「会う」は日本語では自動詞、韓国語(만나다)では他動詞なのです。
不思議ですよね。
*3 小学館の朝鮮語辞典には自動詞はありません
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3. 「解決する」について
またまた不思議な語として「解決する」を取り上げます。
3-1. 「解決する」の日本語での働き
「解決する」をどのように使うかお考えになったことはあるでしょうか?
例文を考えてみます。
「問題を解決した」
このとき、「解決した」は自動詞でしょうか他動詞でしょうか。
目的語候補である「問題」に「を」がついています。となると「問題」が目的語になるので、「解決した」は他動詞です。
では次の例文はいかがでしょうか?
「問題が解決した」
目的語候補である「問題」に「を」がついていません。なのでこの場合の「解決した」は自動詞です。
二つの例文は全く違和感がありません。「解決する」は「問題」の後ろにある文字が一文字変わっただけで自動詞と他動詞両方の働きができる動詞なんですね。
これを英語と韓国語で考えてみましょう。
3-2. 「解決する」の英語での働き
先程の例文を英語で書いてみます。まず「問題を解決した」から見てみます。
I solved the problem.
このとき、目的語候補である「problem」に前置詞がついていないことから、「solved」は日本語と同様、他動詞です。
それでは、「問題が解決した」はどうでしょうか?日本語では一文字変えるだけで他動詞と自動詞が入れ替わり、意味も通じました。
英語では
The problem solved.
でしょうか?
ネイティブには通じるような気がしますが、この文は間違いです。「solve」には自動詞の働きがないからです。
「solve」に限らず、英語には「問題が解決した」のように、「問題」が主語に来た場合に自動詞一語で「解決した」と言える単語がありません。
ですので、
The problem was solved.
と受動態にするしかありません。
日本語の「問題が解決した」は、誰かが何かをしたわけではないが(自然に)解決した、のニュアンスがあります。
推察ですが英語圏では、問題が自然に解決した、とは考えないのではないでしょうか。問題というのは、誰かが解決するものであって、I solved the problem. なり、The problem was solved by him. みたいになるべきだ!と英語圏の民族は考えているのではないかな、と思います。
このあたり、誰が解決したか問わず、自然に解決することもあるよね~的な日本人気質が出ている表現ですね。はっきり決めずにグレーなことや暗黙の了解のようなあいまいさを好む性格が現れているわけですね。
反対にはっきり物を言う英語圏の人たちは、誰が解決した、と言わないと、すっきりしない民族なのではないかと。日本人と欧米人との違いが出ている部分じゃないかと思います。
3-3. 「解決する」の韓国語での働き
韓国語で「問題を解決した」はどう表現するでしょうか?
문제를 해결했다.(ムンジェルル ヘギョレッタ)
となります。
このとき、目的語の候補である「문제」に「를」がついていますので、「해결했다」は他動詞です。これは日本語、英語と一緒ですね。
「問題が解決した」はどうでしょうか?
문제가 해결했다(ムンジェガ ヘギョレッタ).
これで通じるようです。
こちら、日本語と同じく一語が変わっただけでして、「를」が「가」になっただけです。
「会う」では日本語だけが自動詞、英語と韓国語は他動詞でした。しかし「解決する」は日本語と韓国語が自動詞/他動詞の働きを持ち、英語だけが他動詞です。
言語によって自動詞と他動詞はこれだけ違うんですね。
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4. まとめ
いかがでしょうか?
自動詞と他動詞の解説をお届けしました。
また、英語と韓国語における「会う」と「解決する」を例にとり、自動詞だったり他動詞だったりする例をご紹介しました。
言語の勉強をしていると、その国の国民性を垣間見た気がする瞬間がたまに訪れます。語学学習の楽しみの1つでもあります。
自動詞と他動詞の理解に少しでも貢献できたなら嬉しく思います。また、少しでも語学学習への興味を持っていただけるとうれしいです。
そのほか、下記の記事で多言語学習でわかるいろいろな違いを取り上げて解説しています。多言語学習のメリットなんかもご紹介していますので、お時間のあるときに読んでみてください!
合わせて読むと参考になります!
さいごまでお読みいただき、ありがとうございました!
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Posted by 語学ぱぱ
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